20.ポスティングとメジャーリーグ・ビジネス(1,055字)
先日、西武ライオンズの松坂大輔投手が、ポスティング制度を利用して、米国のメジャーリーグへ移籍することを表明し、入札が行なわれた結果、アメリカン・リーグのボストンレッドソックスが約60億円の入札額で落札し、交渉権を得たと報道されました。
ここでは、日米の両方から野球に対するビジネスの違いについて考えてみることにします。
まず、米国側からの一つの見方を示します。レッドソックスは、先物取引で名を馳せた敏腕投資家がオーナーに就任し、名門復活をかけて改革を進めて来ており、一昨年のワールドシリーズで86年ぶりに6度目の世界一に輝いたことはまだ記憶に新しいと思います。
今回の松坂獲得に向けても、大きく二つの視点から巨額の投資に動いたと見られます。一つは、先発投手を充実させるという目的があります。背景には、昨年は健闘しながらも地区シリーズで敗退、そしてリベンジで臨んだ今年は先発投手不足に泣き、地区3位に終わり、苦戦したことが挙げられます。松坂には即戦力(場合によっては大黒柱)として大きな期待が寄せられています。
もう一つは、対決の構図を作り、ジャパンマネーを引き寄せる効果を狙っていることがあります。松坂を同一リーグに入団させれば、マリナーズ・イチロー選手やヤンキ-ス・松井選手と対決する機会が何度も訪れ、エンターテイメント(演出効果)を高めることができます。それにより、日本人の観客動員を増やし、さらに日系企業の看板広告を誘致し、増収増益を期待することができます。
同オーナーは、ROI(投資利益率)のそろばんをしたたかにはじき出した上で、気前良く大金を支払うことを決断したようです。
次に日本側について示します。松坂の場合、「小学生からの憧れだったメジャーでプレイしたい」という夢を実現させるために、本人の意志に、半ば球団側が折れる形となり、その夢を実現させる代わりに、西武は相手球団から移籍金を獲得することになります。その移籍金ですが、選手の年俸や球団の運営に充当すると言われています。他の選手の場合もポスティングには似たような傾向を見ることができます。
両方を対比すると、日米でビジネスに関するスタンスに大きな差異があることがわかります。
こうしたスポーツビジネスのダイナミズムや選手の傾向を理解しないまま、日本のプロ野球を改革しようと議論しても、明確な戦略無しには本場に勝てる見込みはないような気がしています。
ポスティング制度とレッドソックスの詳細は、以下をご参照ください。
http://jpbpa.net/topics/04.htm
http://www.major.jp/news/news20061115-18559.html

2 Comments:
最近、メジャーと日本人の力の差はあんまり感じられません。 でも、報酬とか年金とかの制度は圧倒的にメジャーです。
魅力あるプロ野球を考えていかないと、高校ドラフトから良い選手をメジャーに引き抜かれかねません。 メジャーのやり方が良いとは思わないけれど、日本プロ野球も見習うところは見習わないといけないと思います。1選手(新庄)が盛り上げるだけで、あれだけ人気の無かったチームのファンが増えるのだから、野球連盟の古い考えを改める時代に来ているのかもしれません。
ぺぺさん、こんにちは。
日米の野球機構を比較すると、制度面でも大きな差異が感じられますね。
仮に巨人の上原投手が日本のプロを経ずにいきなりメジャー入りしていたら、もしかすると今以上に活躍していたかもしれないとも思います。
改めるべきはプロ野球機構の旧態依然としたやり方です。意思決定も曖昧で外部から見えにくく、長老が幅を利かせ、民主的な組織運営になっていないと思われます。
早く改革しないと本当に選手の空洞化を招き、メジャーの二軍になり兼ねないですね。
Post a Comment
Links to this post:
Create a Link
<< Home